いじめられっ子がヤンデレ覚醒していじめっ子を攻める

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illustration:ユキト(@yukito0108)様
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長く伸ばし過ぎた前髪の毛先から、ぽたりぽたりと冷たい雫が滴り落ちていく様子を、僕――森岡陸は毎度のことながら、ただぼんやりと他人事のような気持ちで眺めていた。

数センチほどの厚み越し、古びた木製の扉を隔てたすぐ向こう側からは、数名の威圧的な野次と笑い声、それから舌打ちなんかが聴こえてくる。彼らは昼休みの度にこうして、この広い校舎内に幾つか存在する男子トイレを巡り歩いてはわざわざ僕が身を隠している個室を探し当てて、今日みたいにバケツの水を上から流し込んだり、適当なゴミだとか虫の死骸だとか、酷い時は使用済みのコンドームなんかを幾つも投げ込んだりもする。

何がそんなに楽しいのかは分からないけれど、この嫌がらせはかれこれもう三ヶ月も続いていた。

そもそも、どうして僕が昼休みのたびにトイレの個室へと身を隠すようになったのか――その原因は、僕の不手際というかなんというか、気の緩みが招いた結果なので彼らを恨んだりする筋合いはないのだけれど、毎日欠かさず律義に繰り返される嫌がらせに対してはいい加減うんざりしてきたというのが正直なところだった。

「ったく……。お前もそろそろ学習しろよ、森岡ァ」

瞬間、怒号があがると同時に僕が背を預けていた個室の木製扉にドン、と大きな衝撃が加えられる。恐らく誰かが扉を蹴り飛ばすか殴りつけるかしたのだろう。けれど、そんな脅しや威圧に今更屈するような僕じゃない。最初は負い目を感じてはいたけれど、規則正しく毎日こんな嫌がらせを続けられるとそのうちに罪悪感だとか自責の念だとかは徐々に薄れていって、ああ、今日も彼らは僕のことをむきになって探し回っていたんだなという呆れの方が大きくなってしまった。これに関しては彼らの方も、きっと同じ気持ちでいるに違いない。あちらからしてみると、どこの個室に身を潜めようとも必ず探し出して毎日恫喝しているのに、僕が一向に逃げ回るのを止めないし、かといって不登校になるわけでもないから目障りで仕方がないのだろう。

要するに現状、互いの根競べとなっていまっているわけだ。この不毛な争いを終わらせる為にはどちらかが折れるしかないのだけれど、僕は内向的なくせに妙なところで我慢強いし頑固だから、うんざりしつつも今なお辛抱強くこうして虐めに耐え続けているし、彼らは僕が敗北する様を見届けないまま自分たちが始めたこの「日課」を今更放り出せずに、貴重な昼休みのひと時を僕の捜索なんかに費やして一方的に怒りを募らせていたのだ。

だから今日も僕は、ただ息を潜めて嵐が過ぎ去るのをひたすらに待っている。彼らは人目も憚らずに大声を張り上げたり、体育館裏で喫煙を繰り返しては生徒指導の教師に大目玉を喰らうような典型的な不良少年たちだったが、授業態度は別として、予鈴と共に教室へと踵を返すなかなかに律儀な習性を持っている故、あと少し我慢を続けていれば潮が引くようにたちまち姿を消してしまう。

そして本日も例外なく、予鈴がくぐもった音色を響き渡らせたその途端、背中を打ちつけていた鈍い衝撃が立ち所に失われた。

彼らは悪態を吐き捨てつつ、威圧的な足音を鳴らしながらやがて男子トイレからその気配ごと遠ざかっていく。これも常と変わらない、飽きるほどに繰り返された日常の一コマである。

そしてこの後、たっぷり時間を置いた後に僕がようやく個室から抜け出す行為も、幾度となく繰り返した謂わば習慣のようなものだった。

――が、しかし。なんの前触れもなく、その日常は鋭い何かに切り裂かれるかの如く無惨にも破られてしまう事となる。

「……っ」

辺りがすっかりと静まり返った頃を見計らい、僕はいつものように立てこもっていた個室内から音もなく抜け出したはずだった。その先に広がる静寂と空虚に包まれるのがいつしか心地良くなり、今日も変わらずそれらは僕の全身を撫でてくれるものだと信じていたのに。それなのに――。

「そうやっていつもコソコソ逃げてたのか、お前」

投げかけられる侮蔑の視線と誹り。そして、僕の行く手を阻むように狭い通路内へと立ち塞がったしなやかな長躯は、何を隠そう、僕が彼らの怒りを買ってしまう原因となった張本人――潮崎湊だった。

程々に明るく染められた茶髪は右側頭部で丁寧に編み込まれており、恐らくは毎朝鏡の前で念入りに作り込んでいるのだろう、遊ぶようにうねった毛先のひとつ取っても実に隙がない。曰く、彼の実家は美容室を営んでおり、両親揃って美容師であるというので、髪型に対する意識の高さはもしかするとそこから来ているのかもしれない。

「どうして……」

なぜ、今日に限って待ち伏せするような真似を取ったのか。その真意を汲み取る事が出来ず、僕は愚かにも抱いた疑問をそのまま彼に尋ねてしまう。

瞬間、鋭く眇められた彼の双眸が明らかな「憎悪」で熾烈に燃え上がった。

「いい加減、目障りなんだよ」

その声音は激情を堪えるように小さく震えていたが――僕は知っている。彼の内側からこみ上げるそれが、一見、憤怒にも似た「恐怖」や「慄き」であるという事実に。

「最初はちょっと突けばすぐに音を上げて引きこもりにでもなると思ってたが……。しぶとく居座り続けやがって、気色悪いんだよ!」

激昂の語尾が上擦り掠れていたのは、彼が平静を失っている明確な証拠だろう。

そんな動揺を目の当たりにして、僕も彼と同様に、否――もしかすると、彼以上に心を乱してしまったのは言うまでもない。

何故ならその恐怖心や揺らぎは即ち、僕が向けた邪な感情を彼自身が受け止めた結果、生まれた嫌悪に間違いないからである。

「潮崎君、やっぱり僕の気持ち知ってたんだね」

彼と同様、僕の声音もみっともないほどに上擦り掠れてしまっていたが、僕の場合は「歓喜」と「欲情」による高揚が原因だった。

「だから、僕を遠ざけたくてこんな事してたんだ。仲間に呼びかけて毎日僕を追いかけ回して、いつか僕が不登校になってそのまま君の前から姿を消せばいいって……。僕もね、そういう君の気持だとか考えには薄々気が付いてたよ」

一旦、口を開いてしまえば最後、今までに抱え続けていた劣情が際限なく胸の内から溢れ出し、言葉を纏って僕の喉から次から次へと這い出ていく。もう、止まらない。止められなかった。

「君は多分、怖かったんだよね。僕に好意を持たれる事が。だから逃げ出したくなって、でも自分から逃げ出すのはプライドが許さなかったから友達に頼んで僕を攻撃したんだろ」

「……っ、勝手な妄想してんじゃねえよ!」

「妄想なんかじゃないよ。確かに、毎日どこに隠れたって君たちがしつこく追い回してくるのにはうんざりしてたけど、でも――今日、こうやって君が一人で僕を待ち伏せしてたのはさ、我慢が出来なくなっちゃったんだよね。僕みたいな人間に好意を持たれるのが、怖くて仕方なくて、でも本当の事を誰にも打ち明けられないから遠回しな嫌がらせを毎日続けて、それでも不安になって、逃げきれなくて――」

言いながら僕は、制服の懐にそっと掌を忍ばせる。

「なにを――」

そして彼がそんな仕草に警戒心を抱くよりも早く、僕は握り込んだそれを彼の脇腹に力強く押し当てた。

本来であれば、度重なる嫌がらせへの対抗手段として購入したものだった護身用の携行武器、スタンガンはバチバチと思いのほか大きな音を立てながら、しなやかな彼の腹筋を容赦なく幾度も痙攣させる。

「ッ、ぐ……」

ほどなくして彼はくぐもった呻き声ひとつだけを残してぐったりと僕の腕の中に崩れ落ち、その身はあっけなくもこちらへと委ねられる事となった。

「ごめんね、潮崎君。君を怒らせたり、怖がらせたりしたかったわけじゃないんだけど……。僕も我慢出来なくなっちゃったんだ」

筋力を失った長躯を抱き留めながらその表情を覗き込むと、薄く伏せられた双眸に先ほどまで宿っていた憎しみや怒りは窺えない。

潤んだ瞳に浮かんでいたもの。それは、紛れもない「絶望」と「恐怖」が描いた実に美しいマーブル模様であったのだ。

弛緩した両腕を抜き取ったベルトで一纏めにした後、再び潜り込んだ狭い個室内の扉上部に取り付けられたフックにそれを引っ掛ける。

ぎしり、とベルトの革部分が軋む音から察するに、半ば吊り下げられた状態となった彼の両腕には相当な負担が掛かってしまっていると思われるが、これから及ぶ行為の最中、万が一にでも全力で抵抗をされてしまっては脆弱な肉体の僕では彼を抑え込むことなど到底無理な話故、致し方のない処置だった。

「ねえ、潮崎君。僕はね、最初のうちは見ているだけで満足だったんだよ。君に自分の想いを打ち明けたいだなんて、そんな烏滸がましいこと考えもしなかった」

言いながら僕は彼が纏ったワイシャツの裾から掌を忍び込ませ、ずっとずっと触れたいと思っていた薄くも程よい筋肉を纏った下腹とくびれの稜線を辿るようにして五指を這い回らせる。

同性の肌とは思えないほどに滑らかな感触は、夜毎ベッドの中で妄想を繰り返し、思い描いてたそれを遥に凌駕する極上の触り心地だった為、僕は何度も感嘆の溜息を零して頬を紅潮させてしまった。

「けど君は僕の気持ちに気が付いて、僕を遠ざけようと必死になった。本当に毎日色んな嫌がらせを受けて、心底うんざりしてたけど、でも――」

掌を更に奥深くへと潜らせると、やがてぴんと張り詰めた突起の元へと辿り着く。そこを指の腹で執拗にこね回し続けるうち、半ば伏せられた彼の睫毛がぴくんと震え、何かを強く噛み殺そうとでもしているのか、奥歯がギリ、と軋む音が聞こえたような気がした。

「君が僕の好意に気づいてくれているかもしれない、っていう事実が支えになってたんだよ。だって僕は君と碌に口も利いたことがないのに、君は敏感にそれを感じ取ったんだから……。こういうのが、運命ってやつなのかな」

指の腹で押し潰したり、摩擦を加えてみたりと刺激を与え続けたそこは、やがて彼の意志など無関係に硬くしこり、加えられた愛撫に対して素直な反応を示してみせる。

堪らず僕はもたつきながらもワイシャツのボタンをすべて毟り取ってしまうと、曝け出された胸元へと自身の顔を埋め、今度は舌先で乳頭の感触を存分に堪能する事と決めた。

「……っ、は……」

尖らせた舌先で擽りつつ、時折生まれたての赤ん坊を真似た仕草で深く吸い付くと、スタンガンの電撃を受けて未だ脱力したままであるはずの彼の肉体が活きの良い魚の如くびくびくと痙攣を繰り返してみせる。状況も相俟ってか、まさに「まな板の鯉」であると僕は密かにほくそ笑みながら、絶妙な感触に硬化したそこを口腔内にて無遠慮に転がし、弄んだ。

「ッ、くそ……。やめ……!」

僕の耳朶を吐息で擽りながら、彼は痛々しくもどこか艶っぽい声音で抗いの言葉を絞り出す。双眸のみならず、嬌声すら潤んだその様に、下腹で脈打つ劣情は際限なく膨れ上がってあっという間に理性や道徳を削ぎ落していく奇妙ながらも爽快な感覚をどこか遠くに感じていた。

「ごめんね、嫌だよね。スタンガンも痛かったでしょ」

乳頭の先を弄びながらふと視線を下ろせば、彼の白い脇腹にほんの僅か赤らんでしまっている部分を見つける。恐らくは軽い火傷を負ってしまったのだろう。だが、ほんのりとその傷跡だけ浮かび上がるような淡い色付きは、凌辱の名残を彷彿とさせるようで却って艶めかしく、僕は思わずそこを指先で擽らずにはいられなかった。

「少し熱いね、ここ」

指の腹で感じるその場所は、与えた電撃によって生じた熱が未だ燻っているようで仄かに焔を灯しているようだった。

堪え切れず、僕はその火傷痕にも舌先を伸ばし、皮膚のみならず口腔内の粘膜でもその微かな熱傷から発せられる奇妙な劣情を卑しくすすり上げる。何度も何度も、頭上で肌を震わせている彼がやがてこみ上げる嫌悪と恐怖で涙を滲ませる気配を半ば楽しみながら凶行はそれからしばらく続いた。

男の肉体は非常に単純なもので、心が追い付かなくともある程度の刺激を断続的に与えられ続けるうち、それなりの反応を示してしまうのだ。彼とて、例外ではない。微塵も僕の好意を受け止める気配はないどころか、明確な拒絶を今もなお示し続けているというのに彼は徐々に呼吸を荒げ、か細い声で実にしおらしく啼いてみせたのである。

「あは、潮崎君……。感じてきちゃった?」

今度はベルトの抜き取られた制服のスラックスに手を掛け、ホックを外し、ゆっくりとジッパーを引き下ろしてやると、ボクサーパンツの薄い布地を窮屈そうに膨らませている欲望の塊が現れた。

当然のように僕はまず下着越しにそれを強く食み、彼自身の抱く劣情と背徳の感触を粘膜という粘膜で心行くまで堪能する。

「っ、やめ……! 馬鹿、なにして……」

上擦る声音の裏側に潜むは、確かな背徳による興奮だった。それは決して彼が望み欲した感覚などではないという事実も相俟ってか、僕の内側でずっと息を潜め続けていた凶暴性の高い煩悩が爪先から突き上げるのを生々しく感じてしまう。

「……本当はね、このまま君の中に僕の全部をねじ込んでみたかったんだけど」

スタンガンによる筋肉の萎縮は、あくまで一時的なものである。

両腕を拘束しているとはいえ、やがて彼が力を取り戻し暴れられてしまっては、いよいよ僕はまともな学校生活を送れなくなるほど凄惨な仕打ちを受けかねない。

故に今回は、彼の心身に強烈な悦楽と屈辱を「トラウマ」として刻むに留めておくことに決めたのだ。

「ああっ、は……!」

下着の中から取り出した、ほんのりと硬度を持った彼自身を僕は躊躇なく口腔の奥深くへと迎え入れる。

亀頭の先を舌先で抉りつつ、無遠慮なストロークにて大きく膨れ上がりつつある幹を粘膜の壁で大いに扱いた。

「やめ、ッ……! あァ、ん……っ」

抗いの言葉を発しようとするたびに零れてしまう嬌声が恨めしいのか、彼はどうにか自身の唇を噛み締めようと試みていたものの、失った筋力を上回る快楽に責め立てられてはどうやら成す術がなかったらしい。

「んン、っ……。あ、ぐ……ッ」

前触れなく口腔内で熱が弾け、舌いっぱいに奇妙な苦味なのか甘味なのか判別のつかない独特の風味が広がり鼻を抜けていく。

脱力していた故、我慢が一切効かなかったのだろうか。随分とあっけない絶頂であったと少々物足りなさを感じたりもしたが――。

「ねえ、潮崎君」

僕は制服のポケットから取り出したスマートフォンにて、艶やかに乱れ切った彼の肢体を様々な角度から撮影しながら密かにほくそ笑んだ。

「今度こういう事するときは、僕も君の中にいっぱい射精させて欲しいな」

――約束だよ、と念を押したその瞬間。彼の双眸に浮かんだ絶望と諦念の色は、世界中のどんな絶景にも劣らぬ美しさと艶めかしさを孕み、儚く煌めていていた。

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